少年時代の話

 

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我が心のピンポンパン

「ママとあそぼう!ピンポンパン」という番組がありました。

 見ていた方は多いでしょうが、僕も毎日この番組を見ていました。僕は2代目の「石毛恭子お姉さん」の世代です(酒井ゆきえお姉さんの頃もよく見ていましたが「小さい頃に見ていたお姉さん」は恭子お姉さんなのです)。

 今回は石毛恭子お姉さんの頃のピンポンパン、そしてその音楽を中心にお話します。


 ここに1本のカセットがあります。「1972」とクレジットがあるので、僕が6〜7歳位の時に買った物だと思われます。石毛恭子お姉さんが歌っているピンポンパンのカセットです。きっと親が買ってきたのでしょう(他に、実家にも恭子お姉さんの頃のLPがありました。もうボロボロで傷だらけのレコードです)。

 いつだったか、偶然これを見つけたのですが、親がカセットで購入してくれていたおかげで、LPの様に傷などとは無縁で今でも比較的良い音で聴けます。

 そのせいもあり、時々思い出してはこのカセットを聴いてきました(今はMDにコピーして聴いています)。

 

 大ヒット曲でレコード大賞まで受賞した「ピンポンパン体操」などが収録されていますが、聴けば聴くほどクオリティの高い楽曲に驚きます。

 僕が18歳を過ぎた頃に詳しい作家陣を知り、大いに納得しました。「ピンポンパン体操」の阿久悠&小林亜星の他、服部克久(「ピンクのバニー」作曲)や渡辺岳夫(ピンポンパンの歌」作曲)、そして当時歌謡曲の分野で大ヒットを連発していた森田公一(「パジャママン」作曲)など、凄腕の作家陣を起用していたのです。


 レパートリーの多くを歌っていた石毛恭子お姉さんは、何と当時はフジテレビのアナウンサーでした。僕はずっと「ピンポンパンのお姉さん」という職業があるように思っていました。

 女子アナウンサーを子供番組のお姉さんにして歌わせてしまうのも凄いですが、恭子お姉さんはそれにきっちり応えています。歌のお姉さんで十分にやっていけるほど歌が上手なのです。特筆すべきはファルセットで、音程がしっかりしています。


 曲も複雑なメロディーのものが結構あり、アレンジが凝ったものも多いです。

「パンダちゃん」などは本当に贅沢なアレンジで、まとまったホーンセクションはサビの部分にたった11音だけ、という徹底的に曲重視の編曲が施されています(それに比べると、演奏は全体的にかなり荒いのが残念です。「パンダちゃん」はかなり良い演奏ですが、曲によって今聴くとリズムのずれやミストーンなどが気になる場所があります)。


 特に僕が好きなのが「ピンクのバニー」という曲です。

 この曲はこの前後の時代によくあった、ビートルズの「オ・ブ・ラディ・オ・ブ・ラダ」のベースラインを取り入れています(キャンディーズ「あなたに夢中」、井上順「昨日、今日、明日」、ピンポンパンの「ジャストンピン」の一部でもこのフレーズが聴けます)。

 

 この世に「お金じゃ買えないものがある」という事を、僕はこの曲で知りました。ビートルズの「キャント・バイ・ミー・ラブ」を聴く前に、僕は「ピンクのバニー」で知ったのです(ビートルズはリアルタイムではありませんでした)。

 そして「生意気に見えるが実は寂しがりやの奴もいる」という事もこの曲で学んだのでした。今聴いても素晴らしい曲だと思います(ちなみにこの曲は酒井ゆきえお姉さんも歌っていますが、アレンジが違います。聴き比べるのも楽しいです)。


「ピンクの戦車」も好きな曲だったのですが、この曲には驚かされた事があって、中学1年生の頃に深夜放送を聴いていたら、全く違うヴァージョンの「ピンクの戦車」が流れて来たのです。

 それは「自切俳人(ジキルハイド)のオールナイト・ニッポン」でした。

 自切俳人とは作詞家・歌手・現在は精神科医で大学教授の北山修さんの別名なのですが、なんとこの人の作詞作曲だったのです。そして流れて来たのはご自身が弾き語りしている「ピンクの戦車」だったのです。

 毎週この人のラジオを楽しみに聴いていたので、堺正章「さらば恋人」、ジローズ「戦争を知らない子供たち」、クライマックス「花嫁」の作詞や、フォーククルセダーズ「帰ってきたヨッパライ」の有名なセリフを言っている人、程度には知っていたのですが「ピンクの戦車」の作者だとは夢にも思わなかったのです(その後しっかりこのヴァージョンが収録されたライヴ盤を買いました)。


 その他にも、ピンポンパンではバート・バカラックの名曲「レイン・ドロップス(雨にぬれても)」、サミー・デイヴィスJr.の「キャンディマン」などをカヴァーするなど、洒落た選曲をしていました。

 残念なのは、僕が大好きだったこの「レイン・ドロップス」、そして「かくれんぼネッシー」「ぼうしをかぶった男の子」が僕の持っているカセットには入っていないのです。

「ぼうしをかぶった男の子」は18歳の時に酒井ゆきえお姉さんのベストアルバムで手に入れましたが、アレンジが違っていました。いつか、恭子お姉さんのヴァージョンを手に入れたいと思います。

 

追記:石毛恭子お姉さん時代の「レイン・ドロップス」「キャンディマン」「かくれんぼネッシー」「ぼうしをかぶった男の子」などが2003年にCD化されました。

昭和キッズTVシングルスVol.6
「パンダちゃん」「ジャストンピン」「タンタンはやしうた」「ドロンコマーチ」「かたづけサッサッサッ」「ドロンチョドロドロ ヨゴラッタ」など収録

昭和キッズTVシングルスVol.7
「レイン・ドロップス」「キャンディマン」「ピンポンパン体操(第2ヴァージョン)」「ピンポンパンのうた(第2ヴァージョン)」など収録

昭和キッズTVシングルスVol.8
「おさるがサ」「ぼうしをかぶった男の子」「ピンクの貯金箱」「かくれんぼネッシー」など収録

昭和キッズTVシングルスVol.9
「ピンポンパン体操’74」「げんこつくん」「シャンプーマン」など収録

※ これらの曲を探していた方は今のうちに入手された方が良いと思います。複数のアルバムに別れて収録されていますが、個人的に希望するのはこれらを今後ピンポンパンの単独アルバム完全版として発売していただきたいという事です。ぜひお願いします。


 あの大ヒット曲「ピンポンパン体操」は2001年にオリジナル音源がCD化されました。

 「ピンポンパン体操」はドリフターズがカヴァーしています。かなり独自にアレンジされているので、全く別の作品と言える出来になっています。ピンクレディーが歌った「ピンポンパン体操」もCD化されましたが、こちらもピンクレディーらしい出来です。

 もう少し願いが聞いてもらえるなら、他のピンポンパンの音源もCD化して欲しいです。オークションを見るとレコードは出品されていても、やはり古いので保存状態が良くない物が多いようです。できればDVDで発売…というのはさすがに無理でしょうか。


 僕は夢見る事があります。それは、大きな会場に僕と同世代の人たちがたくさん集まって「ピンポンパン体操」をする事です。

 恭子お姉さんや体操のお兄さん、カータンなども参加して、全員で体操するのです。今の時代だと「頑張らなくちゃ〜頑張らなくちゃ〜」という歌詞も僕らにピッタリだと思います。


 さて、いつの間にかピンポンパンを忘れ、僕は音楽どっぷりの青春時代を迎えました。

 その後NHKの「お達者くらぶ」などで恭子お姉さんを見かけましたが、その後はどうなさっているのかわかりません(きっと幸せにお暮らしだと思いますが)。

 

 新兵ちゃんは「ケンちゃんシリーズ」のお巡りさん役もやっていましたが、ある日「徹子の部屋」のゲストで出ているのを見ました。

 あ、新兵ちゃんだ!と思ってビデオに録画したのですが、新兵ちゃんはボランティアで少年少女を更生させる保護司になり、活動しているという話をしていて、その内容に感動しました。

 次に新兵ちゃんの名前を聞いたのは、残念ながら亡くなった時でした。体操のガンちゃんも残念ながらお亡くなりになりました。

 

 体操のお兄さんはその後全くテレビでも見なくなり、どうしているかわからなかったのですが、最近僕はお兄さんが出演していたミュージカルを見たことがあるという事が明らかになりました。

 ミュージカルの検索をしていたら、高校の受験で上京していた時に帝国劇場で見た「ラ・マンチャの男(出演:市川染五郎、上條恒彦他)」の出演者の所に「金森勢」という名前があったのです。

 金森勢さん、つまり体操のお兄さんです。もう20年以上経ちますが、僕はお兄さんのステージを見ていたのです。現在は子供たちのバレエやダンスの指導をしているようです。


 最後に、いくつかピンポンパンのエピソードをお話します。

 ある日、一緒にバンドをやっていた浦と加賀美と3人でピンポンパンの話をしていたら、加賀美(ベースとギター担当)が「そういえば俺、ピンポンパンに3回出た事があるよ」と言ったのです(浦も加賀美も東京出身)。

 僕は笑い転げたのですが、浦が真剣な顔で「いいなあ〜〜!!俺、最後にもらえるおもちゃが羨ましくてよぉ…」と身をよじって悔しがったのでした。

 

 それから僕はピンポンパンに出ていた「ビッグマンモス」という男の子のグループと同じ学校で、弟が同じクラスでした。弟にゆきえお姉さんのLPの写真を見せたら「あはは!いるよ、こいつだよ!」と言っていました。

 

 もう1つ、大爆笑したのは、僕の妹が「カッパのカータン」を「柿のオバケ」だと思っていた事です。「緑色じゃねえかよ!」とツッコんだら「だって、おばけだからああいう色だと思ったんだもん!」と言っていました。

 

 それでは、いつの日か「大勢でピンポンパン体操をするぞ会」の会場でお会いしましょう。

 

※サーチしていらした方へ 音源のダビング(コピー)には著作権の関係で応じられません。ご了承下さい。10数曲はCD化されましたのでそちらをご購入下さい。

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